b17 衛星のアンテナパターンのシミュレーションと考察 2018/1/5
1. キューブサットの場合
100✖100✖100mmのキューブサットに437.5MHzダイポールアンテナを付けたときのシミュレーションをMMANA-GALを使用して行った。
MMANA-GALは丸棒(丸パイプ)の設定しか出来ないので、メッシュ状に線で行った。
↑外観図 ↑テキスト文の一部
↑437.5MHzDPインピーダンス、SWR、ゲイン等 ↑145.9MHzMPインピーダンス、SWR、ゲイン等2018/1/9
↑給電点のインピーダンスは69.09ΩでSWR1.38です。衛星筐体が小さいのでこの程度でしょう。2018/1/7
(筐体とアンテナの距離を変えても周波数に対して筐体が小さいのでインピーダンスは大きく変わらない)
筐体がもっと大きいと,インピーダンスはもっと低くなる。(450✖450✖450mmでは15~25Ωになる。アンテナ位置により変わる)
↑SWR<1.5以下なので、このまま使うことになりそうです。 ↓2018/1/9
145.9MHzモノポールはR27.77Ω,SWR1.81とRが低くSWRが1.5を超えている。SWR2以下なのでこのままでも良いが、気になるようで有れば同
軸ケーブルを使ったスタブを入れればSWR1.5以下にできるはずである。2018/1/11
145.9MHz,R27.77Ωは1.4λQマッチを使ってマッチングさせる事も出来る。Zc=√27.77×50=37.4Ωの同軸ケーブル1/4λをアンテナと50Ω同軸 ケーブルの間に入れれば良い。しかし37.4Ωの同軸ケーブルは無いので、75Ω同軸ケーブルを2本並列にすれば75/2=37.5Ωで使用できる。
ただし、75Ω同軸ケーブルで衛星に使える耐熱性の有る同軸ケーブルは入手困難かもしれない。
さらに、いずれも同軸ケーブルの長さが300~400mmになるので、キューブサットでは長すぎて実用的では無い。ならば 固定のC 又は 固定のL
は温度特性、耐振動性の検討をすれは使える可能性が有るのではないか。
キューブサットのアンテナの測定は、測定ケーブル長(同軸ケーブル)の影響が有ると考えられるので対策が必要ではないか。 2018/1/11
↑2Dパターン 437.5MHz↑V面+H面 ↑V面のみ ↑H面のみ ↑145.9MHzモノポール
ここは誤って消してしまった。このjimdoでは再生できない! V面+H面
実際に衛星ビーコンを受信した状況からは、直線偏波のアンテナでは衛星のスピンによると思われる信号の変化が大きく感じられる。
それに対して円偏波のアンテナで受信した場合は、衛星のスピンによると思われる信号の変化をあまり感じない場合が多いが、変化が大きく感じられる場合も有る。
なお、トランスポンダを介したQSOにおいては、直線偏波のピークでは円偏波より3dB強いと云われているので、そのピークを狙って5~8秒でQSOする方法もある。(モビホ+CWでQSOしている局もいる)
また衛星が見える方向(AOS/ME/LOS)によっても偏波が変化すると考えられる。(左図Bを左側又は右側から見たら?)
従って一概に円偏波アンテナが良いとは云えないが、ある程度のゲインの有る円偏波アンテナであれば、比較的安定した送受信が出来るのではないかと考えている。2018/1/10
なお、これらの事は当局が考えていることで、一般的かどうか分からない。(あまりこのような事について書かれているのを見ない)
2. 50kg級衛星の場合
450✖450✖450mm(約50kg級)の衛星に437.5MHzダイポールアンテナを付けたときのシミュレーションをMMANA-GALを使用して行った。
100✖100✖100mmの衛星データを使って、4.5倍又は1/4.5倍(周波数、寸法等々)してシミュレーションした。
MMANA-GALは丸棒(丸パイプ)の設定しか出来ないので、メッシュ状に線で行った。
↑外観図 ↑インピーダンス、SWR、ゲイン等のシミュレーション
↑アンテナが上図の位置(エッジが給電点)でインピーダンスは49.13Ω、SWR1.03となった。(実際にはこのように出来ない)
↑アンテナパターン(2D) ↑H面+V面合成(3D)
↑V面(3D) ↑3D画像で見ると、V面にもかなり電波が出ている。↑ ↑H面(3D)
↓450✖450✖20枠に437.5MHzダイポールを設置した場合の3Dパターン ↓2Dパターン
↑H面+V面合成(3D) ↑V面(3D) ↑H面(3D) ↑赤V面、黒H面(2D)↑
450✖450✖20枠に437.5MHzダイポールを設置した場合の3Dパターン
50kg級の450✖450✖450mmの衛星では、単純な8字特性ではなく、衛星本体からの反射を含めた複雑なパターンになっていると考えられる。
↓アンテナを筐体の中心付近にするとインピーダンスは10~25Ω付近になる。この場合は、給電点にスタブを付けるか、又は給電点を中心からず
らして左右のエレメントを不均等にして50Ωにする方法が有る。(2016第60回宇宙科学技術連合講演会、3G01で発表されている模様)(オフ
セット給電とも云うようです)2018/1/10
↓以下にシミュレーション例を示す。
↑上図はダイポールの左右エレメントを均等に167.5mmにした状態で、シミュレーションするとR12.115Ω,jX-0.325Ω,SWR4.13となった。
アンテナとしては、jX-0.325Ωで共振状態であるが、Rは50Ωより低く12.115Ωとなって、SWRは4.13と高い状態である。
↑上図の筐体寸法は450✖450✖15mm。実際の450×450✖450mmの現物に対しては約70~80%の精度が得られる。2018/1/7
↓下図に示すように給電点(赤丸)より筐体中心方向のエレメント(L1)を短くし、筐体の外側のエレメント(L2)を長くする。
↑上図はダイポールの左右エレメントを不均等にL1(106.1)+L2(238.5)mmにした状態で、シミュレーションするとR51.189Ω,jX-0.183Ω,SWR1.02
となった。長い側のエレメントが筐体の外により多く出るので電波的にも良い方向になる。
筐体が450✖450✖450mmで、ある取付位置の場合 L1(115)+L2(227)mmで R47.6Ω,SWR1.05,比227/115=1.974 となった。2018/1/8
↑上図の筐体寸法は450✖450✖15mm。実際の450×450✖450mmの現物に対しては約70~80%の精度が得られる。2018/1/7
左右不均等エレメントの調整要領 2018/1/7
★アンテナの要件
1. 目的周波数に共振していること。(シミュレーションで jX<±1)
2. 給電点インピーダンス(R)が約50Ωであること。(シミュレーションで R=50±5Ω)
3. SWRは1.5以下であること。
★アンテナ調整要領
1. 共振周波数はエレメント長(L=L1+L2)で行う。共振周波数を低くする場合は L を長く、共振周波数を高くする場合は L を短くする。
2. 給電点インピーダンス(R)は L2/L1(最小値=L2=L1従ってL2/L1=1) の比で行う。給電点インピーダンス(R)を小さくする場合は L2/L1 の比を
小さく、給電点インピーダンス(R)を大きくする場合は L2/L1 の比を大きくする。(上記の比、238.5/106.1=2.248)
おわり
JA1CPA