b20. MMANAシミュレーション入門 2021/3/15
2021/03/14 JARL栃木県支部ZOOM講演会(Web開催)で説明したものです。
1. アンテナシミュレーター MMANAのインストール
2. アンテナシミュレーター MMANAの立上げ準備
3. アンテナシミュレーター MMANAの立上げとサンプルデーターを使ってみる
早速「ANT」に収容されているサンプルのアンテナデーターを設定してみます。
①アンテナに必要な条件
1. 必要周波数で共振していること。(jX=0)(jX =-2 ~-5程度にする、-にするのは同軸ケーブル等の給電線接続長を見込むため)
2. インピーダンス(Z)が約50Ωになっていること。(抵抗成分(R)=50 <-5~+8程度) Z=√R^2 +jX^2 (Ω)
3. 上記1.2.を満たせば、結果的にSWRが,ほぼ<1.5になる。(SWR <1.5程度、SWR1.5で4%、SWR2で10%ロス)
②アンテナのシミュレーションの条件
1. 計算した周波数より高く共振しているとjXは-(容量性リアクタンス)になり、低く共振しているとjXは+(誘導性リアクタンス)になる。
2. 従って、jXが-の時はラジエーターを長くして再計算し、jXが+の時はラジエーターを短くして再計算する。
3. 抵抗成分(R)を50 近くにするには、輻射器(ラジエーター)以外の他の条件が必要。
八木アンテナではラジエーター以外のエレメント長及びエレメント間隔等を可変すると抵抗成分(R)も変化する。
ダイポール等はラジエーターしかないのでエレメントだけで抵抗成分(R)を変えることはできない。ただし地上高を変えると変化する。
4. アンテナの近くに大地、金属、物(導電物)、衛星本体等が有ると、リアクタンス(±jX)、共振周波数(±fo)、抵抗成分(R)やインピーダンス
(Z)は変わる。(6方向 1~3λ(ラムダ) 以上離れれば影響は少ない。近いほど影響は大きい) λ=300/f(MHz)
(m)
5. 多エレメントでアンテナゲインを多くすると,SWRの低い周波数範囲が狭くなる。
③MMANAの主な使用条件
1. エレメント等は 線、パイプ、丸棒 のみ設定できる。パイプは肉厚が1mm以上であれば丸棒と同等です。(高周波の表皮効果による)
2. エレメント等はX1,Y1,Z1,X2,Y2,Z2,Rの3次元座標で設定する。(Y1=0.1m,Y2=-0.1m,R=2mm(他は0)の設定はエレメント長さ0.2m、太さ4mm
となる)
3. エレメント等の交点は座標指定しなければ接続しない。(通過交点は電気的に接続しない)
4. ラジエーターがセミフォールデットダイポール等の非対称の場合は誤動作す場合がある。(正常に動作することもある)
5. ラジエーターのエレメント径が0.01λ 以上では共振周波数に大きな誤差が生る。共振周波数が5~10%以上低くなる。
(特に435MHzでφ7mm以上、1200MHzでφ2.4mm以上では影響が大きい。ディレクターやリフレクターはあまり影響しない模様)
6. 原則的に給電点はNo.1エレメントの中心(「PULSE」w1c と設定する)に設定すると設定表が見やすくなる。
7. 計算を繰返していると誤動作及びハングアップすることがある。このときは「編集」「値を丸める」「小数点以下3桁」「はい」をクリック
して実行するか,又は再立ち上げする。(U/VHFでは寸法は0.001m(1mm)単位で設定する)
8. 製作は,限りなくシミュレーション値にすればシミュレーション通りの性能が期待できる。
9. 製作は出来るだけ,エレメント長誤差±0.1mm(435MHz以上)、±0.3mm(145MHz以上)。エレメント間隔誤差±0.3mm(435MHz以上)、
±1mm(145MHz以上)にする。HF帯は10mm程度の誤差は無視できる。
10.自動分割 DM1、 DM2についてはエレメント数の多いアンテナ及びフォールデットダイポールなどエレメント途中で曲がりがある場合は、
DM1「800」、 DM2「80」にすると計算結果の精度が良くなるようです。(PC動作は遅くなる)
④ラジエーターエレメントの長さと共振周波数の関係(jX=0が完全な共振状態)
1. エレメントは長くなるほど共振周波数は低くなる。(ほぼ比例する、jX が + に大きくなる)
2. エレメントは短くなるほど共振周波数は高くなる。(ほぼ比例する、jX が -
に大きくなる
3. エレメントは太くなると共振周波数は少し低くなる。
4.
エレメントは細くなると共振周波数は少し高くなる。
5. 自由空間のアンテナのエレメントは約1/2λより少し短いところで共振する(ダイポール、ラジエーター等)
(300/f (MHz)=300/435MHz=0.0689/2=345mm、145.9MHz:1028mm)
6. 435.0MHz 1/2λダイポールのシミュレーション例
★操作手順
1. MMANAを開く(入力後はEnterを押す。長さの単位はm。エレメント径のみR半径mm)
2.「Name」に 435.0MHz 1/2λダイポールアンテナと入力。「Freq」に435.0と入力。
3. 435.0MHzの1/2λをY1,Y2に±で入力する。(X1,Y1,Z1,X2,Y2,Z2は3次元座標)
1/2λ=1/4λ+1/4λ=(300/435/4)+ (300/435/4)=0.1724+0.1724
No.1欄 に「Y1」に0.1724 「Y2」に-0.1724 と入力。
4. エレメント半径をmm単位で入力。(半径2mm) 「R」に2と入力。(直径4mm棒またはパイプ)
5. Y1とY2の中心を給電点にするため、「給電点1個」の下「No.」 に「1」、「PULSE」に w1c と入力。(ワイヤー No.1の センター)
6. タブ「アンテナ形状」をクリック。 7.右上「原点中心」をクリック。
8.「縮尺」のスケールを右へ、下図のように1/2λダイポールアンテナが設定されたのが見える。赤丸〇が給電点を示す。
9.画面上側に有る「計算」をクリック。 10.左下の「計算」をクリック。(「◎自由空間」)
11. 計算された結果が表示された。↑上図
12. jX:40.566、かなり低い周波数に共振しているので、エレメントを短くして再計算する。
13. 「アンテナ定義」をクリックし、Y1:0.168、Y2:0.168 に変更する。↓ (約5mm短くする)
14. 「計算」クリック。jX:21.407となった。まだ長い。
15. 「アンテナ定義」をクリックし、Y1:0.164、Y2:0.164 に変更する。↓ (約4mm短くする)
16. 「計算」クリック。jX:4.708となった。jXを少し-にしたいので、さらに Y1:0.162、Y2:0.162に変更する。
17. 「計算」クリック。R:70.560(Ω) 、 jX:-3.557(Ω)、 SWR:1.42となった。↓
18. jX = 0 < -1 ~-5程度は満足。R=50
<-5~+8程度は不満足。SWR <1.5程度はぎりぎり満足。
Rを50
にするには、他の条件が必要である。ダイポールだけでは50Ωに出来ない。
抵抗成分(R)は,多エレメント八木アンテナでは,ラジエーター以外のエレメント長及びエレメント間隔を変えると変化する。
次に145.9MHz
3エレメント八木をシミュレーションしてみよう。(図をクリックすると拡大する)
↑エレメントは繰り返し計算した結果の数字 ↑「アンテナ形状」をクリック 上の「計算」クリック、下の「計算」クリック
計算結果が「NO.1」に表示された
↑「パターン」をクリック ↑「計算条件」を「リアルグランド」に ↑「パターン」をクリック
左側は水平面、右側は垂直面パターン↑ チェックして「地上高」 5m
に設定する 右の垂直面パターンは,自由空間とは全く
上の「計算」クリック、下の「計算」クリック 違ったパターンになる(大地反射のため)
計算結果が「No.2」に表示された 「地上高」を変えて「計算」してみよう
「Ga dBi」(アンテナ・ゲイン)は大地反射で約6dBアップする
周波数、エレメント長、エレメント径、地上高等々を変えてシミュレーションしてみよう。変化する状況が見える。
おわり