d16. 435MHz 14エレメント・摂動励振クロスアンテナの作り方(右旋円偏波) 2015/11/28
(せつどうれいしん)
旧ホームページ(ホームページ・ビルダー)から移植したので、不具合、文字抜け等が有りましたらご連絡ください。2017/11/12 ↓再び作りました。2017/12/2↓
3本目を作りました。 435MHz 6エレメントの作り方も参考にしてください。 2017/11/30~2017/12/3
2019/5/18↓↓ 435MHz帯 14eleクロスアンテナの軸比(緑線)↓↓
↓ラジエーター(Ra)周辺のブーム加工図 ↓ポリカーボネイト板加工図
↓ラジエーター(Ra)加工図
1.ブーム加工
↑右旋円偏波
・ノギスで卦がきを入れて、ポンチを打って、指定の穴をあける。
↑下穴φ2.5mm ドライバードリルでM3タップ立て ↑ステップドリルで長穴開け
1.2. ラジエーター部分の加工(下記の5枚の写真は、6エレメントの例)
ラジエーターと同軸ケーブルのはんだ付けは、組み立てのところで行う。
1.3. エレメントの加工
φ4アルミ棒(A5052)、長さ±0.1mmに仕上げること。26本製作に約2時間 ノギスと小型グラインダーを使用した。
1.4. 同軸ケーブル
同軸ケーブルは2D-LFB-Sを使用した。長さは 435MHzの1/2λ電気長。253mm+半田付け部分
2.組み立て
2.1.ラジエーター(下記の5枚の写真は、6エレメントの例、同軸ケーブルは5D-FBの場合)
ポリカーボネイトは比較的熱に強く強度も有るので、はんだごてが直接触れなければほぼ溶けることはない。
↑ 芯線をRav銅パイプの中へ 芯線をはんだ付け↑ ↑ 編組をRav,Rah銅パイプの中に
↑ 編組もRav,Rahの中へ 編組をはんだ付け(向こう側) ↑
手前の芯線側のポリカ板を1枚はずす ↑
← 矢印方向からアクリルラッカースプレー(クリヤー)を吹き付け
て同軸ケーブルとはんだ付けしたところの周囲を絶縁する。
(乾いてから3~4回)
吹き付けが絶対にコネクターに行かないようにすること。
↓ 加工したブーム ↓
ラジエーター(Ra)と同軸ケーブルの半田付け部分は、一液型RTVゴム(信越シリコーン)KE45Tを充填する。↓↓
↑同軸ケーブルは 2D-LFB-S を使用した。 ドレーン用穴を開けておく↓↓
↑2tアルミ板を加工した↑ ラジエーター(Ra)以外のエレメントは廣杉計器㈱ スペーサー C-420-6 でブームと絶縁すること。
3. 仮測定
↑右の写真の状態(XRa+ XRfe)のSWR及びRX特性 ↑ この状態ではかなり低い周波数に合っている。
エレメントと同軸ケーブルの接続状態が正しいことが確認できる。・
ブームを立ててエレメントが水平になるようにする。 ブームから約30cmは金属パイプは不可↑↑
エレメントに接着剤(スーパーXハイパー,超多用途,屋外にも使える,ショックに強い,セメダイン㈱)を少量塗布し2~3分経過する。
それからエレメントを回しながらスペーサーに差し込みエレメントを左右均等にする。
ブーム、スペーサー、エレメントを接着剤で固定する。(下にだれ無いように)
塩ビパイプ用チーズ(HI-VP20)ブームにタッピングねじで固定する。 注)HI-VP: 耐衝撃性塩ビパイプ(黒に近い色)
チーズ(HI-VP20)にHI-VP20塩ビパイプ(1m程度)を差し込んで接着剤とタッピングねじで固定する。
ブームから約30cmは金属パイプは不可。(SWR等の性能に影響する)
↑ 完成状態 ↑ (HI-VP20塩ビパイプ取り付け前)
完成状態でアンテナのコネクター側のブームに塩ビパイプを差し込んで、周囲3~4m開けている場所でアンテナを上に向けてSWRを測定した。
共振点は438MHzとやや高くなった。調整等はしないで作ったままで測定した。(調整は出来ない) 2017/12/3 3本目完了
アンテナゲインの比較測定とVH比(垂直、水平比)を測定しました。 (↓下写真はクリック拡大)
↑受信用アンテナ (木は手前にある) 送信用アンテナ↑(黄色)
↑手前の垂直偏波(黄色)アンテナが送信用、向こうの X と I が受信用
↑14エレメント・エレメント位相式クロスアンテナの軸比モドキ(垂直・水平偏波の最大電圧、最小電圧のdB差)は0.66dBでした。なお同時に比較測定した10エレメント八木アンテナ(直線偏波設置)の軸比モドキ(垂直・水平偏波の最大電圧、最小電圧のdB差)は13.24dBでした。
この測定でも分かるように直線偏波アンテナ(通常の八木アンテナ)では、衛星に搭載されたアンテナから出る直線偏波が垂直/水平と変化すると受信信号が大きく変化することになります。
一方、14エレメント・エレメント位相式クロスアンテナでは垂直から水平に変化しても0.66dBしか変化しないことになります。(実際には大地反射等が有るので単純ではない)
ここで受信に使用した10エレメント八木(第一電波、A430S10R、13.1dBi)は垂直偏波に設置したものです。
単純にゲイン比較すると、14エレメント・エレメント位相式クロスアンテナがA430S10R、13.1dBiより約7dBもゲインが有るように計算されます。(-34.8)-(-27.24)≒7dB これは大地反射等他に要因が有ると思います。直線偏波を円偏波アンテナで受けると、さらに3dB少なくなります。検討課題とします。
★軸比モドキ(垂直・水平偏波の最大電圧、最小電圧のdB差)のシミュレーションと測定 2017/12/29
・・シミュレーション
↑430MHz軸比モドキ 3.3dB(シミュレーション値差(dB))↑ ↑435MHz軸比モドキ 1.2dB↑
↑440MHz軸比モドキ 2.8dB↑ ↑436.5MHz軸比モドキ 0.3dB↑
・・測定環境
・・測定と結果
受信アンテナに14エレメント・エレメント位相式クロス八木アンテナを使用した。(軸比モドキ測定アンテナ)
送信アンテナに10エレメント八木アンテナ(直線偏波)を使用した。
送信アンテナに 0dBm(430MHz帯)を入力し、軸比モドキ 方向に約180°回転させ、受信レベルの最大値と最小値を求めた。
周波数は430MHz、435MHz、440MHzで測定した。
測定値差はほぼシミュレーション値差と一致した。
一般にアマチュア衛星に設置されているアンテナは、ダイポール、またはモノポールが多い。
このアンテナは衛星のスピンによって垂直→水平→垂直方向に回転し偏波も垂直→水平→垂直方向にゆっくりと回転(移動)していると考えられる。
この電波を地上で受信する時に、垂直又は水平偏波のアンテナで受信すると衛星のスピンによる偏波の変化によってQSBが大きく発生するものと考えられる。
それでは、軸比モドキ がゼロのアンテナで完全にQSBが防げるかと云うとそうではない。また円偏波アンテナで直線偏波を受信すると3dBロスすることが分かっている。従って直線偏波アンテナより円偏波アンテナが絶対に良いとは云えない。これについては別途考察予定。
以上3本目の製作記事を終わります 2017/12/29
シミュレーション テキスト ↓
特性 ↓
パターン(V,H) ↓
SWR、R,jX、 ↓ ↑ 軸比相当長短差0.5dB以下
Gain、F/B ↓
↑ クロス部拡大(F→B)
1.2.外観寸法図、
ブーム加工図 ↑ ↑ 1750を訂正→1825
エレメント長 ↓ (mm)
Ref.D12~D1:φ4.0アルミ棒、Ra:φ4.0銅パイプ、
エレメント間隔 ↓ (mm)
3.加工寸法、写真等
ここの部分は、6エレメント・435MHzエレメント位相式 を参照のこと。
さらに、この部分も参照のこと。 (ポリカ板A,Bの板幅が違う)
3.1.ブーム
上図 ブーム加工図による。
3.2.ラジエーター部分
3.3.エレメント
3.4.その他の加工、加工図、写真
4..組立写真等
4.1.ラジエーターの組立
4.2.全体組立 完成写真 ↓
5.測定、(調整)
5.1.測定 (AA-1000で測定)
↑ 今回は特に調整していない ↑
5.2.電波測定
ダイヤモンド 10エレメント八木(10ele)と比較した。
軸比モドキ 2.0dB
測定値 10ele比max+1.9dB
10ele比min-0.1dB
10eleが13.1dBiなので、このアンテナゲインは、13.1+1.9=15.0dBi(max)
13.1-0.1=13.0dBi(min)
これは、直線偏波を円偏波アンテナで受けたので、2.5dBロスしているとすれば、
max 15.0+2.5=17.5dBi
min 13.0+2.5=15.5dBi 平均値は、16.5dBi となりシミュレーション値とほぼ一致した。
軸比モドキ が2.0dBになって、シミュレーションの0.5dBより大きくなった。
これは、前回測定して1dB程度だった6エレメントも2dBとなったので、測定誤差が同じように出たと思われる。
いずれにしても、屋外でアマチュアが測るので、1~2dB程度の誤差は生じると思う。
6.仕上げ
6.1.防水処理
ラッカースプレー(クリヤー)をラジエーターのクロスのはんだ付け部分(同軸ケーブルを含む)に吹き付けて防水
絶縁する。さらにKE45Tを充填すると強度と防水性が向上する。
アクリルラッカースプレー(クリヤー)が良いが、高いのでラッカースプレー(クリヤー)でも良い。(SWR等は変化なし)
7.製作のポイント
7.1. ラジエーター周辺の寸法(ポリカ板、Ref、D12間隔等)及びエレメント長は±0.1mmにする。
7.2. その他エレメント間隔は±0.1mm~±0.1%程度にする。(300mmで±0.3mm、1mで±1mm)
7.3. 同軸ケーブルは5D-2Vを1/2e長×12倍にした。(300/435/2×12×0.67=2.78m)、AA-1000で測定して長さ調整
した。(e=短縮率)は、電線メーカーやロットによって少し違うので実測が必要)
1/2e長はアナライザーAA-1000(AA-600)で測って、R=最大(赤線) 、X(jX、緑線)=0
ポイントが、435MHzの1/2λe長(n倍)になる。
AA-1000等が無い場合は、クラニシBR-510でもある程度推定できる。
MFJ-269はUHFは測れない。
7.4. ラジエーターのクロス部分のはんだ付けを含む寸法精度Rahは平行、Ravは中心から3±0.1mm程度
7.5. 以上の要件を満足すれば調整はほとんど不要になるはず。
8.設置 工事中
9.使う 工事中
10.コメント
ポイントは、
① 特にラジエーター周辺の寸法精度をだす。(寸法誤差が少ないほど、調整不要になる)
② 同軸ケーブルを1/2e長×n倍にする。(要調整)
この2点です。
11. ラジエーター寸法について 2015/11/28
シミュレーターでは、
RavはZ軸上で Z 0とZ175になるので、長さは175-0=175となる。
RahはY軸上で Y 3とY157になるので。長さは157-3=154となる。
従ってラジエーターは、175+154=329を175と154の間に切れ目
を入れて90°に曲げていた。
これを実際に取り付けると、左側の拡大図のようにラジエーター
の半径(r=2)だけ外側(この図で上と左)に行き、ラジエーター
Rav,Rahが各2mm長くなってしまっていた。
これをここでは、Rav=175-2=173、Rah=157-3-2=152、にして作っ
た。
従って、(173+0.5)+(152+0.5)=326にして、173.5に切れ目を入れて
90°に曲げればよい。なお、0.5+0.5=1mmは金ノコ歯の厚み。
これによって、別の6エレ・エレメント位相式クロス八木、2本も無調整でSWR1.2以下となった。
11.1. 詳細検討 2015/11/29
これは、MMANAのラジエーター部分の
テキスト部分で有る。
このテキスト部分の数字は座標を表しているので、
これを図にすると左図のようになる。
RavはZ0からZ175までなので、175mm
及びZ0~-Z175までなので、175mm
RahはY3からY157までなので、157-3=154mm
及び-Y3~-Y157までなので、154mmとなる。
これにエレメントの中心線にエレメントを入れると
線径部分に重なりができてしまうので、実際には
このように設置できない。
ただし、重なる部分をそれぞれ45°に切り込めば
設置可能で有るが実用的ではない。
このMMANAは中心線で長さや太さを出して計算
している。
実際の加工と設置は、繋がるRavとRahを一本にして
90°に曲げると簡単にできる。
左図の右下のRahとRavも同じ要領で作る。
この状態でRahは0軸上に水平に、Ravは座標中心が
左右に3mmずらすので、左図の位置になる。
すると、Rahは、始まりがZ5.5で、終わりがY157なので
エレメント長としては、Y157-Y5.5=151.5となる。
一方、Ravは、始まりがZ2.5で、終わりがZ175なので
エレメントとしては、Z175-Z2.5=172.5となる。
しかし、このままではY3,Z0は、はんだでつながるので、
Rav,RAh共に2.5ずつ長くなってしまう。
従って、ラジエーターとしては、左図のようにする。
折り曲げた場合は、始まりが中心から3mmがれている
Rahは最大座標から5.5mm短く、中心から離れていない
Ravは2.5mm短くする。
シミュレーターでは、ラジエーターを90°に曲げた
2本の間に給電するようになっている。
ここは最短距離、すなわちY3+Y3=6mmで有るが、Rah
が左右に離れて、Y5.5+Y5.5=11mmとなっている。
その間を左図のように同軸ケーブルを繋ぐと、芯線と
編組の合計は11mmを超えて、約20mmぐらいになって
しまう。
その長くなった部分は+リアクタンスとなって、特性に影
響する。
このアンテナのシミュレーションでは、R44.395、jX-9.501 となっている。
これを、前記のように組み立てて実測すると、下表になった。
これで見ると、jX-9.501が-6.4になっているので、その差 3.101が
同軸ケーブルの長さになっている感じで有る。
もう少し、同軸ケーブルの剝きしろが長くても良い。
それでは、この同軸ケーブルの部分をあらかじめシミュレーション
に入れてみると、どうなるか。
その結果は、下記↓
この結果、給電点の同軸ケーブル相当部分(-X0.006))を6mmにして、6+3+3+6=18mmにしたら実測値と一致した。
シミュレーションの軸比は0.9dB。(少し悪くなった)
また、この時のRも46.455と上昇し、SWRも1.16となり、実測値に近くなっている。
したがって、この同軸ケーブルの接続しろのコの部分を6~10mmにしてシミュレーションするか、又はここをフラットに
してRを45~50程度に、jXを-3~-8程度を見込んでシミュレーションしておけば良い。
以上を整理すると、
1. シミュレーションでは、軸比モドキ を1.0dB以下にして、給電点をフラットにして、Rを45~50 程度に、 jXを -3~-10 程度
にする。
2. ラジエーター長は、始まりが中心から3mmがれている場合は最大座標値から5.5mm短く、中心から離れていない場
合は2.5mm短くする。(φ4銅パイプの場合)
おわり
JA1CPA