d20 アルカミアンテナ (アルミホイルとボール紙で作る) << 受信専用 >>
2016年10月のJAMSAT東京ミーティングが終わって帰り際にJO1LDY黒木さんから「ダンボールとキッチン用アルミホイルを使っ
て子供が作れる衛星ビーコン受信用アンテナが作れないか」 とリクエストを頂きました。
ここでは子供が作れるコンセプトを少し超えて、437MHz 4エレメント, 5エレメント, 145.9MHz 3エレメントを作りましたの
で437MHz3エレメントと共に紹介したいと思います。
いずれも衛星ビーコンが良く聞こえます。なお、開発経緯等は別途掲載していますので、ここを見てください。
437MHz 3エレメントについては、HAMworld (ハムワールド)vol. 5 (2016/12/15発売)に掲載しています。
この3エレメントおよび4エレメントのアンテナは小学生でも作れますので、皆さんでイベントなどで作って楽しんでください。
作るうえで不明な点があればメール頂ければと思います。
1.アンテナ寸法図表
ただし Ga(dBi)は測定誤差が有るので目安です。
☆ ビーコンの受信状況 2016/11/30
最近はキューブサットが多くなって電源節約のためか解りませんがビーコンを切れ目なく出している衛星が少なく、
さらに145MHzのビーコンが増えています。
FO-29,CO-57,CO-58,CO-66,PRISM等をTH-D74で聞いてアンテナの性能を確認しています。
CO-57,CO-58,CO-66,PRISMは非常に強く受信で出来ています。ただし時々休止時間が有ってドップラーをダイヤル
で追うのに少し慣れが必要です。
その点では、FO-29は休止が無いので安定して受信できますが他の衛星より少し弱くなっています。
3エレメントの場合は指向性が広いので方向はあまり気にせず楽です。
偏波面については、かなり影響してR5~R2の変化が有ります。
当局の2階のロケーションは抜群で、窓からEL2~3°まで聞こえます。
室内でも窓の近くでは受信できますがパソコンの近くにアンテナを持ってくるとノイズが激増し埋もれます。
ハンディ機(TH-D74)で受信すると同軸ケーブルのロスが少ないのでプリアンプは必要としません。
TH-D74のBバンドの機能、性能の受信を安く出してくれると、このアンテナで小学生が衛星ビーコンを聞くことができます。
SO-50(FMのQSO)もEL20でS1~天頂S6まで振ってきました。
☆ 比較的簡単なビーコン受信方法(初心者向け、待受け受信) 2015/12/8
①ダイヤルを規定の周波数に合わせて、おおよそMEL(最大仰角)の方向に向けて待ち受け受信するとほぼ
最大仰角になった時にビーコンが聞こえて来るでしょう。
②聞こえ始めてからしばらくするとドップラーシフトによって音がビービーからプープーと低くなってきます。
そうしたらダイヤルを左に廻して(周波数の低い方)聞きやすい音にしてください。
③その後も周波数が低い方に移動して行きますのでダイヤルを左に廻して、常に聞きやすい音にしてください。
④アンテナはビーコンが大きく聞こえる方向と、ブームの軸を0~90°の間を回転させて大きく聞こえるところに
動かしてください。これも時間と共に変動します。
7.少し技術的な事を!(チョット長いので興味有る人は読んでください)
①子供が作れる。ボール紙とキッチン用アルミホイルで半田付けを無くす。エレメントは単純にする。
と云うことで、ラジエーターはマッチング素子無しで単純なダイポール形式にしてSWR1.5以下を目指しました。
そのために多エレメントになるとインピーダンスが低下するのをリフレクターとの間隔を大きくしてインピーダン
スを高くしました。その影響でF/B比が悪くなっています。
このクラスのアンテナはサイドやバックの性能は違法トラックには無制限?なのでフロントゲインを重視しました。
ただそのままではラジエーターとリフレクター間に比べてディレクター間が狭く見た目が悪いので?
ディレクター間も広くしてゲイン増をはかりました。hi
見た目は良くなりましたがブームは長くなりました。(これが狙い!)
なお同軸ケーブルを使わないでビニール平行線でと思ったのですが50Ωのアンテナに繋いでも10dB以上の
ロスでした。アンテナインピーダンスを100~300Ωにすれば違ったかも、と思いますがアンテナが複雑になり
断念しました。
同軸ケーブルを1.5D相当を使いましたが1m近い長さなので0.7~1dBぐらいのロスが有ります。引き回しは悪く
なりますが3Dを使えば少し改善します。(アンテナゲインが低いので0.7dBでも貴重)
437MHzで3エレメント、4エレメント、5エレメントの各アンテナの差は約2dBです。この差の違いは衛星ビーコンを
聞くと分かります。手に持ってビーコンを聞くと偏波の違いが明確に分かります。また大地反射も垂直と水平で
違いが有ることが分かる感じがします。電波が手で感じられるようです。(電波を手掴み!チョット,オーバーかな!)
②送信に使えないか
内緒でハンディ機(5W)で短時間送信しましたが異常は出ませんでした。
半田付けは必要になりますが少し改善すれば送信出来る可能性は有るでしょう。(全て自己責任です)
③エレメント径について
エレメント幅については6~40mmぐらいまでシミュレーションしましたが差が無いので、子供でも作りやすい25mm
としました。
このアンテナはMMANAでシミュレーションして作りましたが当然MMANAのエレメントは丸棒(パイプ)しか設定で
きません。
ここでは勝手に平棒?の表裏の周囲長を丸棒の円周の長さとして設定しました。
従って、表裏の周囲長50mm/3.14/2=半径(7.96mm)としました。直径16mm相当となります。(太い!)
④MMANAシミュレーションと周波数調整(SWR)後の寸法差について
437MHzではMMANAシミュレーションの寸法で作ったらエレメント数によって違いますが共振周波数(SWR最低周
波数)が約5~7%ぐらい低い周波数でした。
そのためにラジエーターの寸法を短くしてSWR最小値としました。その値は下表の通り437MHzのみ5~7%短くなり
ました。145.9MHzはシミュレーション値のままでSWR最低値となっています。この差は何でしょうか?
☆二つ目は周波数オフセットが有るらしいと言う事です。
MMANAは波長に対してエレメント径が太いと周波数オフセットで共振周波数が低くなると云われています。
それは「0.0001λで0.25%、0.01λで2%低くなる」と書かれた書籍(パソコンによるアンテナ設計、小暮裕明編著)が有りました。
「0.0001λは0.001λの間違いらしい?」
通常は435MHz帯のアンテナを作る場合はφ3またはφ4を使用します。この場合は435MHzの波長に対しては0.0044
~0.0058λとなり周波数オフセットはほとんど無いと考えられます。(メーカー製は太いパイプですが)
今回のアンテナは前にも書きましたがエレメント幅が25mmなのでφ16mmに相当します。この場合は437MHzの波長に
対しては0.0232λとなって0.01λの2倍以上になっていますので2%以上低くなると考えられます。
一方で145.9MHzは437MHzの3倍の波長なので0.0232/3=0.0077λとなり0.01λより小さいので周波数オフセットはかな
り少ないと考えられます。今回はほとんど影響無い結果になっています。
このことから437MHzのラジエーターの短縮は周波数オフセットによるものと考えられます。 (←チョット疑問が出てきました!?!)
ところで、この周波数オフセットはラジエーターだけに影響するのか、それとも他のリフレクターやディレクターに影響
を与えいていないのかと疑問を持ちました。
そこで次の検証をしました。
437MHzでエレメント幅25mmの場合はラジエーターが約5%の短縮が有ったので437MHzに対して5%高い周波数460MHz
でMMANAで最適値を求めて作製してゲイン比較をしました。(3エレメント、4エレメント)
No.13とNo.15がMMANAで460MHzで最適値を求めて作ったものです。ディレクター、リフレクター、ラジエーター共に短
くなっています。特にラジエーターは437MHzでシミュレーションして調整した長さと同じです。
460MHzでシミュレーションしたNo.13とNo.15の測定の結果はSWR最低点は無調整で437MHzとなりました。
No.7とNo.8はラジエーターだけ短縮して437MHzでSWR最低としたものです。従ってNo.7とNo.13のラジエーター及びNo.8
とNo.15のラジエーターは同じ長さです。違うのはディレクターとリフレクターのみです。
結果は上表のように460MHzでシミュレーションしたアンテナのゲインが、No.13, 3エレメント、No.15, 4エレメント共に
0.8dB、1.5dB低くなっています。
このことから、周波数オフセットで影響するのはラジエーターだけと考えています。(独善的です!もっと実例がほしい!)
アンテナについては、まだまだ解らない所が多く、この周波数オフセットついてご意見が有れば是非お願いしたいと思
っています。( ja1cpaアットjarl.com )
8. 137.5MHz用3エレメントを追加しました。 2016/12/19 11:45
JAMSATのJH3TXF北村さんから、137MHzNOAA用の3エレメントを!とのリクエストが有りましたので145.9MHzを改造しま
した。
エレメントのみを少し長くすれば出来ます。
145.9MHz用3エレメントと比較して、ディレクター(D1)は両端を各19mm長くします。ラジエーター(Ra)は両端を各34mm
長くします。リフレクター(Ref)は両端を各29mm長くします。エレメント間隔は同じです。
145.9MHz用3エレメントに継ぎ足して各長さのボール紙にアルミホイルを巻いて10mm重ねてセロテープで占めました。
9. アルカミアンテナの送信用を試作中 2016/12/26
給電用1.5D-2Vの先端をそのまま外被を剥ぎ芯線と編組にしてラジエーター両端の先端まで伸ばしました。
芯線の被覆はそのままで容量結合としました。
中心部はアルミホイルを巻いてからナイフで10mm切って開けてダイポールとしました。
★ 50W送信の確認 (同軸ケーブルの芯線、編組をアルミホイルの中に入れた物、上記品、3D-2Vの物)
5D-FB×6mを繋いでアンテナを外に出してSWRを測ったら441MHzで1.2でした。
435.0MHz以下ではSWRが大きくほとんど送信できませんでした。
5D-FB×6m端で435.0~439.9MHzのSWRは1.1でした。
438.2MHz、50W連続 3分間送信を数回やりましたが、まったく問題なく温まることもありませんでした。
ただし、送信した場合はアルミホイルがあまり作用せずに3D-2V芯線、編組のみとなって共振周波数が高くなっている可能
性が有ります。
芯線、編組を長くすると周波数が低くなります。
その場合は芯線側の半田付け部分がアルミホイルに触れないようにしてください。(絶縁する)
周波数を高くする場合は芯線側を短くしてください。
自己責任でお願いします。
JA1CPA