d34.  市販の144MHz八木アンテナ2本をクロスアンテナ(円偏波)にする             2020/03/27  寸法修正2020/5/5

                                                    

 市販の八木アンテナを2本使って円偏波にする方法は,

①2本をスタックにして、さらに45°ハの字にして、1/4λ位相ケーブル+Qマッチで給電する方法。

②1本のブームにエレメントをXに付けて、エレメントを前後に1/4λにし、Qマッチで給電する方法。

1本のブームにエレメントをXに付けて、エレメントを同じ位置(エレメント取付金具分は前後する)に取り付けて、1/4λ位相ケーブル+Qマッチ

 で給電する方法。

ここでは②と③の混合方式で、Xに付けたエレメントを前後ずらし,1/4λに不足する位相相当分を同軸ケーブルの長さで補う方法とした。

使用したアンテナはダイヤモンのA144S10R2(144MHz 10エレメント)を2本使った。

注意:(A144S10RとA144S10R2は同じではない) ※1   

   A144S10R2×2 の加工寸法図に誤りがあり(RとR2が混在していた),新規寸法を設定した。(申し訳ありませんでした)

A144S10R2×2 完成写真   (2020/5/5写真入替)

(クリック拡大)

2本を重ねてエレメントが重複しないように1/4λ(514mm)にしたかったが、最大で305mmだったので、後の514-305=209(mm)の分は同軸ケーブルを長くして位相を遅れるようにした。

5D-FB短縮率0.7657:209×0.7657=160.0mm長くした。(短縮率はメーカーやロットによって変わるので都度測定する)

さらに50Ωのアンテナが2本並列になるので75Ω同軸ケーブルで1/4λQマッチを作った。

※1 注)この時はA144S10RとA144S10R2の違いが分からずに同じだと思っていた。

 

ブームにエレメントがX状態(90°)にして前後差が305mmになるようにエレメント取付穴を開けて取付る。

 

     

 

 

使わない方のブームを350mm切り出して片側に幅2~3mm、長さ50mmの切り込みを入れる。

この350mmパイプを使用する方のブーム先端に入れて305mm長くなったところでM3タッピングねじ2カ所で止める。曲がりがないこと。

 

←左側がアンテナの後方、右側がアンテナの前方

ブームに45°方向にアンテナ取付穴を開ける。

アンテナ取付金具はブーム接続金具の後ろ側(左側)。(その左のエレメントの左側の2つ穴は前の取付穴)

  

 

マッチングケーブル(1/4λQマッチ+160mm遅延)は左図のように作成した。

各同軸ケーブルの短縮率は使用周波数付近で測定して使用する。 

長い方の同軸ケーブルはX状態のアンテナの後方側に付ける。

短い方の同軸ケーブルはX状態のアンテナの前方側に付ける。 

オスカーハンター(144MHz)を修理して1/4λ遅らせる検討中に測定した最適値は1/4λより15%少ない所に最適値があった。

従って、(514×0.85)-305=132mmとなり,同軸ケーブルの短縮率を0.67とすれば

132×0.67=88mmとなった。従って160mmを88mmにする予定。2020/5/25

 

製作したマッチングケーブル(1/4λQマッチ+160mm遅延)。黒は5D-FB、白はS-5C-FB(銅編組)

2本のアンテナに接続する部分に50Ωを接続してSWRを測定した。

SWR1.2となった。M型コネクターとしては十分な特性か!。位相は未測定。

接続部は堅い金属で補強して曲がらないようにする。

 

 

 

オスカーハンター(※) の75Ω同軸ケーブルと50Ω同軸ケーブルの接続部分。 2020/5/6

中は乳白色ゴム系?コンバウンドが詰められていた。

金属部の長さ45mm  材質は真鍮にニッケルメッキ1.2mm厚ぐらい。非常に堅い。

 ※オスカーハンターは1984年頃 マスプロ から発売された144MHz×12エレメントクロスと430MHz

  ×20エレメントクロスがスタックになったアンテナで左旋円偏波と右旋円偏波の切替付きも発売

  されて、衛星通信家は一度は使ったアンテナです。

  今はそのアンテナを修理しながら使っている局も多いのではないでしょうか。

  当局も2セットを修理中です。メーカー製のアンテナを分解するとアンテナ作りに役立ちます。

 

                ↓同軸ケーブルの接続例

                ↓↓同軸ケーブルの編組がヒゲとなって芯線に触れないように注意が必要↓↓ 

 A144S10R2×2になったが性能は以前とあまり違わない模様。2020/5/5

 

クロスアンテナを取り付ける横ブームは樹脂性を使った。(金属は特性に影響するかも?)

アンテナ直下でR2×2を測定したSWR1.39 (145.00MHz) 2020/5/5

 

 

       ↓ 下記はR2×2の再測定結果 2020/5/9 ↓

2020/5/9再測定

144MHz 1/2λダイポールに145.910MHz/-50dBm程度を入力し,1回転/1分程度で回転させた。回転機構はここに掲載した

約11m先にここで作った144MHz 10エレメントクロスアンテナで,受信プリアンプ(20dB)をONして受信した。

左図(青線)のように最大値40.5dBμ、最大値と最小値の差は7.2dBだった。あまり良くないので再検討する。

茶線はクロスアンテナの隣に設置した10エレメント垂直偏波アンテナの8字特性

 

★アンテナ利得の試算

下記に試算した。

144MHz10エレメント八木アンテナとダイポールアンテナについてシミュレーションして試算した。

下表の右下の通りメーカーカタログ値11.6dBiに対して11.28dBiとなった。(ほとんど一致!ほんとかな~?)

※1 注意:A144S10RとA144S10R2の違い。

①ラジエーターは内部回路が違っていて互換性なし。

 (R2の外観は樹脂ケースからエレメントが出る部分にチューブが被っている。メーカー確認済み)

②R2のディレクター(8本)の長さは全て860mmになった。

③エレメント取付ねじはRがM4だったがR2はM5になった。

④エレメント径はRとR2は同じ。(エレメント間隔は違っていた!) 

その他はアンテナ取付方向のネジ穴が1カ所(垂直偏波用のみ)になった。                    

追記 2020/5/6

市販の八木アンテナを2本使って円偏波にする方法は,

①2本をスタックにして、さらに45°ハの字にして、1/4λ位相ケーブル+Qマッチで給電する方法。

②1本のブームにエレメントをXに付けて、エレメントを前後に1/4λにし、Qマッチで給電する方法。

1本のブームにエレメントをXに付けて、エレメントを同じ位置(エレメント取付金具分は前後する)に取り付けて、1/4λ位相ケーブル+Qマッチ

 で給電する方法。

ここでは②と③の混合方式で、Xに付けたエレメントを前後ずらし,1/4λに不足する位相相当分を同軸ケーブルの長さで補う方法とした。

しかし、今回の②と③の混合方式は③に比べてブームが長くなりあまりメリットは感じなかった。(位相ケーブルが③に比べて短いだけ)

従って③の方法がベストかもしれない。(Qマッチ+1/4λより少し短い位相ケーブル)

 

結論:①クロスして前後させる差は出来るだけ少なく。(ブームが短くなる)

   ②エレメントの重なりがなく。

   ③ブーム接続部分、アンテナ取付部分にエレメントが無く。

   ④その結果で決まる前後差寸法Aとする。

   ⑤位相ケーブル長は 1/4λ-A となる。

144MHz位相ケーブルの例:A=70(mm)とする。(現物で確認してない)

         300/145/4=0.517(m) ,    同軸ケーブルの短縮率:0.67,    (517-70)×0.67=299.49≒300 (mm) 

                       Qマッチの片側に300mmの5D-2Vを繋ぐ。 

                                                       おわり