d38. ハンディ機で衛星通信はできるか? シミュレーションしました。QSOもしました。 2020/11/1 JA1CPA中村
(ビギナー向けの内容を追加しました)
ハンディ機を手に持ってどのような状態にすれば衛星通信ができるかシミュレーションしました。そして実際は?
ヒト型を模して下図のようにいろいろな形態でシミュレーション(MMANA及びMMANA-GALを使用)しました。
ヒト型は頭部φ200mm,胴体部φ300,腕部φ60の導体としました。従って実際とは大きく異なっています。
シミュレーションのアンテナはハンディ機付属アンテナより短い,ダイヤモンド製のSRHF10(75mm長)※1を使いました。
エレメントと給電点以外は全てグランド線1m×4本に接続されて接地されています。
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FM衛星で通信するための最も簡単な装置です。20220918追加
1台の無線機で交信する場合は、スプリット(タスキ掛け)運用ができる無線機が必要です。(2台使えばスプリット運用は不要)
(スプリットとは?=144MHzで受信し430MHzで送信する又はその逆) (amazonでも売っていますよ)
無線機はYAESU FT1XD、別売りマイクスピーカー MH-34、アンテナはダイヤモンドのSRH770S です。無線機付属アンテナは使えません。
この設備での運用では10回ぐらい呼んで1回QSOできる確率です。混信の無い日曜日及び夜間がねらい目です。
ただもう少しQSOできる確率を上げるには、やはり八木アンテナを使う方が良いでしょう。
アマチュア無線で初めて交信する人は、地上間で友人と100mぐらい離れで交信の練習を十分にしてください。
衛星通信は、まず他人同士が交信している状況を十分に聞いてからコールしてください。
この設備で交信するにはアマチュア無線技士4級で十分です。衛星をコントロール(コマンドを送る)する場合は3級が必要です。
⇩ここには、一般のアマチュア無線家向けの初心者向け衛星通信記事が有ります。
AMSAT FOXで始める衛星通信(JARL NEWS 2018夏号 2018/7/1発行 掲載原稿)ここで使っている衛星で使えなくなった衛星が有ります。
h:アンテナ長斜下 145MHz, 7.01dBi 435MHz, 7.41dBi
↑↑ 黒線の垂直偏波が天頂に向かっています。 ↑ 赤線の水平偏波が少し天頂に向かっています。
この体勢で何局かQSOしています。
無線機はYAESU FT1XD,マイクは別売りのMH-34,アンテナはダイヤモンドのSRHF770S(700mm長)
ただし長いアンテナ(70cm)で衛星はアンテナの前方向(この図の右側に衛星)です。
a:アンテナ垂直 145MHz, 2.19dBi アンテナ利得少ない 水平前方が良好。 435MHz, 6.54dBi 水平前方左右が良好。
赤線の水平偏波が天頂に向かっています。 (黒線は垂直偏波) 天頂方向にはあまり出ていません。
b:アンテナ水平 145MHz, 6.78dBi 垂直偏波は後方に強い 435MHz, 8.58dBi 垂直偏波水平前方向良好
赤線の水平偏波が天頂に向かっています 天頂方向にはあまり出ていません
この体勢で何局かQSOしています。ただし長アンテナ(70cm)で衛星はアンテナの横方向(この図の手前か向こう側に衛星)です。
c:アンテナ垂直 145MHz, 4.33dBi 435MHz, 8.06dBi 水平方向は左右良好, 前方に凹み
天頂方向にはあまり出ていません。 天頂方向にはあまり出ていません。
↑この図のような一般的な使い方で、435MHzにおいては垂直,水平偏波共に前方向にくぼみが出ています。
これは体との距離に寄ると思いますが広場で確認してみる価値が有りそうです。(2つ下のアンテナを頭の高さにした時も水平,垂直偏波が凹みになっています)
d:アンテナ水平 145MHz, 6.48dBi 435MHz, 7.64dBi 水平方向は左右良好。
天頂方向にはあまり出ていません。 天頂方向にはあまり出ていません。
e:アンテナ垂直 145MHz, 11.29dBi(GAL:10.99dBi) 435MHz, 5.83dBi 水平方向は左右良好。 145MHz,MMANA-GALシミュレーション
天頂方向に非常に高いゲインとなっています。 天頂方向は少し出ています。 天頂方向が高くなってる。
f:アンテナ垂直 145MHz, 9.38dBi 435MHz, 15.18dBi 利得に疑問も! MMANA-GALでは頭の後方はあまり
天頂方向に少し水平偏波が出ていす。 頭の後方に垂直偏波が出ているようです。 出ていません。凸凹もしていません。
g:アンテナ斜下 145MHz, 7.01dBi 435MHz, 7.41dBi
黒線の垂直偏波が天頂に向かっています。 赤線の水平偏波が天頂に向かっています。
i:アンテナ垂直 145MHz, 5.81dBi 435MHz, 12.36dBi (GAL:6.65dBi) MMANA-GALでは上方向にはあまり
天頂方向には出ていません。 黒線の垂直偏波が60°方向に向かっています。 出ていません。水平方向が大きい。
j:アンテナ垂直 MMANA-GAL 435MHz 9.63dBi 3D 背中の斜め上方向 2020/11/2
今回のシミュレーションでは,145MHzは頭の高さ,435MHzは頭の上又は口の前約40cmで後ろ向きが最高のゲインです。2020/11/2
AO-91の天頂オービットの場合は,頭の高さで受信し,頭の上又は口の前で後ろ向き送信するのが最良となりました。(ホントかな?)
今回のシミュレーションでは人間を完全な導体としてシミュレーションしています。
また体型も頭部、胴体、腕等を一定太さの棒としています。
↑受信,↑↑送信 貴方はこのシミュレーションを信じますか?。信じるか信じないかは貴方次第です?! 責任は持てません!
A B C EL60°~80°が狙い目かも?
AO-91の場合
AO-91FM 2020/11/02/AOS1038MEL77.6°1044でハンディ機(付属アンテナ) で挑戦しました。2020/11/2
受信はEL50°ぐらいから上はメリット5でした。(左上図A,B)
送信は頭上にして何度もコールしましたがNGでした。(時間は2~3分間) 混信の少ない23時30分ごろの天頂が狙い目でしょうか?
つづく
※1:144/430MHzハンディ機の付属アンテナは,アナライザーでアンテナ単独でSWR等を測定すると144MHzはほぼ144MHz帯に近いところでSWRが低くなります。しかし430MHz帯はどれも430MHz帯ではSWRは高くて450~550MHz当たりでSWRが低くなります。
これはハンディ機本体に付けたときに最良になるようしているのではないかと推測しています。
一方でダイヤモンドのSRHF10(75mm長)は,仕様では144/430MHz用とし,150/300/450/800/900MHzで受信に使用できるとなっています。
このアンテナをアナライザーでアンテナ単独でSWR等を測定すると144MHz及び438MHz付近でSWRが低くなります。
今回は金属パイプの先に取り付けて使うので取付部分のグランドの影響の少ないSRHF10(75mm長)が良いと判断して使用しました。
JA1CPA