d43. JAMSAT "通称500円アンテナ" を検証する (1200MHzを追加2024/06/03) 2022/06/16
JAMSATのホームページに出ている "通称 500円アンテナ" について時々作っていましたがSWRがどうも下がらないとの悩みがありました。
ホームページの前文にも「間違えがある」(原典、修正版は閉鎖されているようです。別の記事では「修正済み」との記述もあります)との記述もありますので各アンテナを改めてMMANAでシミュレーションして検証したいと思います。
全体は、144MHz用、432MHz用、1296MHz用、435MHz用に分かれていますので144MHz帯用から順次行います。(432MHz、1296MHzは省略)
なお、MMANAはエレメントの左右が対照的になっているアンテナは正しく動作します。
しかしここに出ている"通称 500円アンテナ"は全て非対称なラジェーター、すなわちセミフォールデットダイポールになっています。
MMANAが正しく動作したかどうかは分かりません!
JAMSAT 144MHz用の検証
JAMSAT 144MHz 3エレメントのシミュレーション
表1 図1 図2
表1は原典の各エレメント長と間隔。 図1はピークと記されている144.2MHzでシミュレーションした結果。 図2は145.9MHzでシミュレーションした結果。
考察:ピークと記されている144.2MHzではR82.895、jX-15.750、SWR1.75となっていて高い周波数に共振しているようです。
我々が使う145.9MHzではR69.716、jX23.559、SWR1.67となっていて145.9MHzより低い周波数に共振しているようです。
シミュレーションでラジェーターの直線部分を6mm短くするとSWR1.36となります。(ここだけではこれ以上低くならない)
当局が作っていたころは、MMANAやアンテナアナライザーが無く、ただラジェーターの直線部分を切って短くして共振周波数を高くして145.9MHzに合わせていました。結果的には正しかったことになります。
JAMSAT 435MHz用の検証
左記の資料は原典に出ているものです。
(クリック拡大)
←資料1
435MHz 6エレメントのシミュレーション
図15 図16 図17
図15は資料1からMMANAに設定した435MHz6エレメントの外観図で左下から2番目がラジェーターです。
セミフォールデットダイポールになっていて、調整は左側の直線部分を長くすると共振周波数が低くなり短くすると高くなります。
今まで何本も作りましたが、直線部分を何度も切って短くして調整しています。10mm以上短くした記憶があります。(10年以上前?)
図16がMMANAシミュレーション結果です。R82.321、jX+93.174と共に極端に大きくなっています。jXもプラスで大きいので共振点はかなり低い周波数になっています。従ってSWRも4.12と大きくなっています。 図17がSWR特性です。420MHzあたりでSWR最低になっています。
シミュレーションでラジェーターの直線部分を11mm短くしたらSWRは1.33となりました。今まで作っていたのはこんな感じで調整していたようです。
8エレメント及び10エレメントについては、ラジェーターの直線部分を短くしただけでSWRは1.2以下になるようです。(素晴らしい)
かなりいい加減な寸法で作ってもセミフォールデットダイポールの直線部分を切って調整できるという「調整しろ付き」のアマチュア無線家向きのアンテナとなっているようです。
Cheap VHF/UHF Antennas (jamsat.or.jp) VHF/UHFのための安価なアンテナ
JAMSAT:1000円デュアルバンド八木アンテンナ 1000円デュアルバンドアンテナ
JAMSAT:500円八木アンテンナ 435MHz 6エレメント
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ホームセンター等で売っているアルミ棒、アルミパイプは純アルミが多く曲げに弱いので144MHzでは使いにくいでしょう。
ブームに使う□19mm木材はホームセンター等で売っています。90cm、180cmがあります。
材質は一本の曲がりの無いものを選んでください。
途中で接着剤で接続されたもの(よく見ると接続部分が分かる)もありますが強度が低い(接着不良?)場合があります。
木材のブームはラッカースプレー(黄色をよく使います)を吹き付けて防水します。
同軸ケーブルの接続部はアクリルラッカースプレー(クリヤー)を2~3回吹き付けて防水します。(3年以上使っていました)
Φ3mmエレメントを通すブームにはΦ3.1mmドリルで穴をあけてエレメントを通します。
同軸ケーブルの長さは、できれば1/2λ電気長×n倍にするとよいでしょう。
調整はラジェーターの直線部分を3~1mmずつ切ってSWRを下げます。SWR1.5ぐらいにはできるはずです。どうしても下がらない場合は、同軸ケーブルの長さを1/2λ電気長×n倍にしてやってみてください。
JAMSAT 1200MHz用の検証 (作ってみました) 2024/06/03
⇐左記の資料は原典に出ているものです。
(クリック拡大)
↓ 1296MHz 10エレメントのシミュレーション ゲイン:14.20dBi
↑外観図 ↑シミュレーション結果 ↑パターン図
シミュレーション結果によるとR=66.392Ω、jx=115.785Ω、SWR= 5.95、Ga=14.20dBi、F/B=18.63dB
考察:Rが50Ωより高く、jxは+に高い数値で非常に低い周波数で共振しています。従ってSWRも非常に高くなっています。
従って、ラジェーターの直線部分を切って短くして共振点を高くなるように調整することが必要です。
シミュレーションでラジェーターの直線部分を短くしてみます。
↓シミュレーションでラジェーターの直線部分(51mm)を短くして45.0mmにした時の特性値 ゲイン:13.98dBi
考察:jxがゼロに近くなりRが54Ω程度でSWRが1.08となりました。ゲイン(Ga)は13.98dBiとなりました。
注)1200MHz帯ではMMANAによるシミュレーションの誤差が大きくなる可能性があります。製作して確認する必要があります。
また、MMANAの特性で周波数に対してエレメントが太いと共振点が低下します。
「パソコンによるアンテナ設計」小暮裕明編著他、によると、『エレメント径が0.0001~0.01λで周波数オフセットは0.25~2%以上となっていて、0.01λを超えると良い結果が得られない』と記されています。(これがラジェーターだけなのか他のエレメントにも影響するのかは不明)
ここではφ3mmを使っています。波長に対して3/231.5=0.01296となりますので、2%低下すると1296MHzが1270MHz付近となるようです。
↓ 作りました。
↑ ラジェーター加工図 ↑ 全景 ↑同軸ケーブルは RG174×330mm
ブームは□12mm×1m木材 (この同軸ケーブルはロスは多い)
各エレメントはニッパーで切って端面のバリをヤスリで取った。ラジェーターはラジオペンチに挟んで曲げた。(内側9.5mm)
↑↑上段はラジェーターの直線端を3mm切った状態
↑下段はさらに2mm切った状態(あと0.2~0.5mm短くすれば1295MHz付近になるかな?)
1296MHz 12エレメントのMMANAによるシミュレーションおよび製作 ゲイン:15.37dBi 2024/06/05
↑ エレメント間隔はRaからの寸法です。
↑ラジェーター(Ra)の寸法は最終数値です。(下記のSWR,RX等の特性の寸法)
1295MHz 10および12エレメントのゲインを測定しました。 2024/06/07
↑DP ↑10ele ↑12ele ↑上から12ele、10ele、DP ↑送信側の模様(上から)
考 察
1. 1295MHzでの測定値はDPが8.2dBμ、10eleが21.0dBμ、12eleが22.4dBμとなった。
2. この結果からDPを基準に計算すると、10eleが14.94dBi、12eleが16.34dBiとなって、シミュレーションよりそれぞれ0.96/0.97dB多くなった。
3. これは基準にしたDPのゲインが約1dB低くなっていると推定した。
ここで使った小型ボール盤
重量は2.2kgでφ6mmまでのドリルが使えます。回転スピードも可変できます。
気になるほどの芯ブレはありません。回転音も静かです。
a~zで1.1万円程度です。「NovelLifeミニ小型卓上ボール盤・・・」
⇐(クリック拡大)
JA1CPA