27. CubeSATのモノポールアンテナのSWRと信号強度の関係は? 2019/4/5
CubeSATで使われているモノポールアンテナはSWRを1.5または2.0以下に調整しているが,その調整と測定にはいろいろと問題がある。
苦労して調整・測定してSWR1.5以下にしても,それだけの効果は有るのだろうか。SWR3とか4ではどうなのだろうか?
実際には送信用モノポールを3種類作って比較した。
受信は自宅の3m高の2本の衛星通信用145MHzアンテナで行った。145MHz 6エレメント円偏波アンテナ(下記グラフは青線)と145MHz 7エレメント垂直偏波アンテナ(下記グラフは茶線)を使用した。 ※ ※
送信は隣接する公園に,受信アンテナから55m離れたところにモギCubeSATを置き145.9MHzモノポールアンテナから送信した。
送信用モノポールアンテナはSWR1.1/2.4/4.5の3種類のアンテナを作って測定し比較した。
モギCubeSATにはハンディ機(TH-F7,50mW)に60dBアッテネータを通してモノポールに接続した。(外部から信号を入れると接続ケーブルがGNDになる)
1.ele2はエレメント長610mmでSWR1.1
信号強度は27.5dBμを基準とした。
2.ele1はエレメント長550mmでSWR4.5
信号強度は23.5dBμで基準より-4.0dB
であった。
3.ele3はエレメント長692mmでSWR2.4
信号強度は24.8dBμで基準より-2.7dB
であった。
4.このようにSWRが高くなるに従って信号
強度が弱くなっている。
SWR2~4ではSWR1.1に比べて2~4dB程度低くなる。
一般に受信機のSメーターではS1が3dBになっているのでS1の差になる。
なお,エレメント長は145.9MHzではSWR最低点に対して±10mm程度は許容される範囲と考える。
左図右側は55m離れた所から2m高を維持して受信アンテナまで移動した信号強度である。ロスも含めて一般的な電波伝搬特性計算(2波モデル)減衰カーブになっている。
右側の受信アンテナから5~6m付近に大きな落ち込みがある。(下記参照)
※左図一部修正2019/4/6
屋外でアンテナの特性や信号強度を測定する時にアンテナの地上高を何mにすれば良いか,多少距離が動いても大きな変動が無いかシミュレーションした。
左図は436.5MHzと145.9MHzの送信アンテナ高2mと受信アンテナ高3mの時の距離による減衰特性である。
大地反射による影響が少ない距離は436.5MHzが30m以上、145.9MHzが15m以上であれば大地反射による影響が少なく急激な変動が無い。
435/145MHzでは信号強度を測定する時のアンテナの地上高は2m程度で、送受アンテナ間は435MHzで30m以上、145MHzで15m以上が良い。
上,下記シミュレーションは(株)サーキットデザインのホームページで計算した
アンテナの地上高が高いほど大地の影響を受ける距離が長くなり、その影響は周波数が高くなるほど距離も長くなる。
下図は436.5MHzで計算した。
↓送受共1mH ↓送受共2mH ↓送受共5mH ↓送受共10mH
周波数:145.9MHz
送信アンテナ地上高:2m
受信アンテナ地上高:3m
電波伝搬特性比較をした。
図の左側が受信アンテナ、右側の送信アンテナから電波を出しながら受信アンテナ側にプラカード状態で手持ちして移動しながらレベル測定した。
図上側は上記の実測値、
下側はシミュレーション値。
ほぼ一致している。
茶線の垂直偏波アンテナよりも青線の円偏波アンテナの方がやや変動が少ない。
レベルも円偏波アンテナの方がシミュレーション値と合っている。
受信アンテナから10m以内は誤差が大きい。
★測定モデル例 2019/5/29
145MHz帯/435MHz帯アンテナ調整(測定)条件
送信アンテナ、受信アンテナ地上高:1.5m
送信アンテナ、受信アンテナ間距離:20~30m
送受信間値上面:平坦、送受信アンテナ周辺5mは平坦(人、物 等が無いこと)
おわり
JA1CPA