30.垂直偏波を水平偏波アンテナで受信したら低減するか?!? (衛星通信関連) 2019/12/7
(表題を含めて記載内容を改定しました。ただしデーター部分は変わりません) 2020/9/29
435MHz帯の垂直偏波を垂直偏波アンテナと水平偏波アンテナで受信比較するとその受信強度はどのようになるか検証しました。
受信アンテナは、6エレメント八木を垂直と水平に同一ブームに取り付けて2本の同軸ケーブル(5D-FB、4m)を直接2台の受信機(IC-R8600)に接続しました。(プリアンプなし)
アンテナは2階ベランダ(4.5mH)に230°方向に固定して設置しました。(左写真,ほぼ富士山方向)
下の広場は隣接するグランドゴルフ場で70m×60mぐらいの広さで
当局の電測場になっています。hi
下記のグラフは435MHz帯のFM波を受信して信号強度を記録したものです。
赤線が垂直偏波アンテナで緑線が水平偏波アンテナで受信した信号強度です。
非常に多くの信号(局)が記録されています。
下記グラフは上記グラフのデーターを垂直偏波アンテナで受信した信号強度(赤線)を強度順に並べたものです。赤線の信号強度に対応して水平偏波アンテナで受信した信号強度が緑線グラフです。ただし信号の途切れた部分,異常に高い低い値を削除しています。従って約8000カウントのデーターは4358カウントになっています。測定時間は約1時間で受信した局数は約50局、その局が移動しながらランダムに繰り返し電波を出していました。
このグラフの左の目盛り1.0Vが10dBμに相当し,IC-9700等のアイコムのV/UHF無線機では,SメーターS9に相当します。左の目盛り3.0VはSメーターS9+30dBになります。
垂直偏波アンテナで受信した信号強度の平均値は 20.2dBμでした。水平偏波アンテナで受信した信号強度の平均値は 9.6dBμでしたので、その差は 10.6dBになります。
IC-9700等では,SメーターのS1当たり3dBです。従って10.6dBは10.6/3=3.5となり,Sメーターが3.5少なく振れることになります。
垂直偏波アンテナで受信した信号がSメーターS9だったとしたら,水平偏波アンテナで受信すると平均値でSメーターS5.5となります。
ただし垂直偏波アンテナで受信した信号と水平偏波アンテナで受信した信号の差は,相手局により大きく変動していますので,安定したものでは有りません。
①相手が移動局の場合はSメーター平均S3.5(10dBμ)の違いがあります。
SメーターS9が S5.5 では,あまり効果はメリットの違いは無い?。SメーターS5が S1.5 で有ればメリットの違いはある?。
②相手が固定局の場合はS5(15dBμ)以上の差(SメーターS9がS4以下になる)が出ますのでかなりメリットの違いは出る思われます。
下記のグラフは共に移動中のA局とB局の交信の信号強度の模様です。
レベルの高い方がA局,レベルの低い方がB局です。この2局は見える範囲で交信している模様です。青線が垂直偏波アンテナ及び茶線が水平偏波アンテナで受信した信号強度です。
垂直偏波と水平偏波の差が有るところと,ほとんど差が無いところが有ります。
比較的近くを走っているようで,地名などで推測するとアンテナのバックサイドで自宅の影になるところで2~3km地点と推測できます。
直接波がほとんど来なくて反射波だけになっている可能性があります。偏波の反転が生じているものと推測しています。
固定局の場合(周波数帯∶435MHz帯)
垂直ANT 水平ANT 差
A局 33.4dBμ
-2.1dBμ
35.5dB
B局 12.1dBμ
-2.5dBμ
14.6dB
C局 13.5dBμ
-6.6dBμ
20.0dB
D局 7.7dBμ -8.3dBμ 16.0dB (福生市固定,フロンド方向,水平偏波-8.3dBμでメリット3~4,S2~3)
E局 12.5dBμ -8.2dBμ 20.8dB (羽黒山,固定モービル,見通しながらアンテナのバックサイドで自宅の陰)
F局 19.5dB -7.6dBμ 27.1dB (434.470MHz,434.360MHzで不明のキャリアが不定期に断続的に出ている,高速のFSK変調か?)
G局 23.0dBμ 8.9dBμ 14.1dB (秩父市皆野町モービル半固定,山岳反射多い模様)
JA1CPA